Vol.004
飴を伸ばし地域も切拓く 「有限会社 日本料理 吉良屋」 菅沼孝夫さん
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技術部門
出陣じゃあ。
参加店のスタンプを4つ集めると、漏れなくセンスのいい扇子がもらえちゃう。
奥三河発のB級グルメ旗頭として、大ヒットを飛ばしたこの企画。
ニ年目に突入して、「げんこつ飴」の商品化へ一直線というオマケ付き。
いやいや、オマケどころか奥三河の特産品として打って出ようと準備万端。
こんな興味深い戦術は一体どうやって陣頭指揮をとっているの?という好奇心で「吉良屋」の菅沼孝夫さんにお会いしてきました。
『戦国ぐるめ街道』のイメージをそのままに、新たな商品開発を進められていると聞きました。げんこつ飴の売り出し企画は順調に進んでいますか?
- 保存料などの添加物を入れず作ったものを食べてもらいたいので、賞味期限はどうしても生菓子のように短くなりそうです。
だから、店でセットメニューの中の一品として、お客さんに食べてもらうつもりです。
湯谷温泉の各旅館でもお茶うけとして使ってもらえたらいいかなと。
「げんこつ飴」を製造してくれる店も『戦国ぐるめ』参加店を中心に増やしていきたいです。
他には、豊橋鉄道のバスツアーのお土産にする案にも期待しています。
そもそも、『戦国ぐるめ街道』の企画を始められたキッカケは何でしたか?
- ここともう一軒「レストラン花遊」という店を「山びこの丘」で経営しています。
そこへお客さんをシーズンオフも呼びたいと思いました。
山びこの丘は、春から夏にかけて合宿や林間学校といった行事で子供たち中心に賑わうのですが、冬期は全くの閑散期です。
月の売り上げが数万円とかいった有様でした。
私が経営させてもらう前の状況は、冬場は従業員を減らして経費を抑え、営業活動を縮小するというスタイルだったようです。
でも、自分は常に動いていないといられない性分でそれが合わなかったですね。
シーズンオフは、大人に「山びこの丘」の景色・風情を味わってもらえるような機会を店に作りたいと思いました。
ところが、考えてみると自分の店だけで解決できることではないと感じました。
そこで、鳳来飲食店組合の役員会でスタンプラリーを提案したんですよ。
鳳来飲食店組合長の発言に対して、役員の方々の反応はどうでしたか?
- 全体的な雰囲気はお寒いもので、冷やかな反応でした。
自分は『まずはやってみる』という考え方なので、自分のアイデアを1人ずつ説明し、協力をお願いして回りました。
飴のように粘り強い活動ですね。その粘り(根気)に繋がるエピソードを教えて下さい。
- 長男として生まれたので、店を継いだのですが、店をやってみると寝る時間が勿体無いくらい面白みがあると感じました。
自分の努力もサボリも反映されるから、働く時間を楽しめましたよ。
金沢へ行った時に、喫茶店でコーヒーを飲んだら、連れが金粉の入っていることに大喜びしていたので、それならと店の忘年会で金箔の貼られた器を使ったら、これが大当たりしました。
ただし、金杯がたくさん無くなったけどね。(笑)
ライバル関係でもある同業者の人たち同士が協力し合うことは難しくないですか?
- 平成十七年に全国棚田サミットが四谷千枚田で開催されて、その時の食事場所が「山びこの丘」だったんだけど、他の店の料理人も呼んで、皆で料理を作ったら、いいものができて凄く楽しめました。
だから同業者同士も協力はできるんだって感じたなあ。(企画運営を進める中では、)同業者と話す機会は日頃からありますが、それよりもお客さんである消費者と話す機会を持つことがとても役に立ちますね。
売る立場と買う立場の違いとでもいいますか…。
だから無料モニターを友達や従業員から募集して食事会を開いたりもしました。
これまでにも何度か無料で『戦国ぐるめ街道』試食会を開かれてますね。あのような機会にお客さんや地域の人に伝えたいと思うことは何ですか?
- 商売というものは、一生懸命に行う、手を抜かないということを続けることが大切であると思います。
価格を下げてお客を集める店もありますが、自分の店では価格よりも質を追求しています。
要はお客さんがここ一番で利用したい店、お客さんが知人を招待した時に恥をかかせない店ならば、必ずお客さんは店に戻って来ますよ。
「げんこつ飴」によって、地域皆で盛り上がっていけたら、絶対に面白いですよね。
出典
- 「キラッと奥三河 ―人・物・文化・企業―」
No.14 飴を伸ばし地域を切拓く 菅沼孝夫さん
訪問日 平成23年8月24日
訪問者 新城設楽山村振興事務所 山村振興課 宮内一郎
(転載/穂っとネット東三河)