Vol.023
色んなファクターを通して僕は生き様を表現している その一つが広告媒体の収集です 佐溝力さん
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芸術文化部門
東名豊川インターを降りて、車で5分。
細い、半分畑、半分住宅が並ぶ道に、突然出現する琺瑯看板研究所。
豊川在住、知る人ぞ知る「広告媒体コレクター」のサミゾチカラさんの家だ。
外壁から中まで、懐かしいオマケや、パッケージ、ホーロー看板が満載されているご自宅は、看板と広告の資料館 琺瑯看板研究所 サミゾチカラ コレクション」として、無料で一般公開されている。
もともと物を収集するのはお好きだったんですか?
- 僕は子どもの頃から集めるのが好きでしたね。
それとね、集めるなら徹底的に集めちゃうの。
しかも、そのコレクションのカテゴリーを掘り下げて掘り下げて、突詰めてくわけ。
例えば昆虫採集。
始めは単に虫を集めてるんだけど、途中から蜂ばっかになってくるわけ。
なんで蜂かっていうと、結局虫でも蜂が気になっちゃうんだよね。
で、とにかく蜂。
蜂の膨大なコレクションになっていくわけ。
植物でも、植物採集してると、途中で、シダ類ばっかになってくの。
こんな具合で、一旦集めだすと、とにかく掘り下げて集中して集めるのね。
僕は、子どもの頃、気も弱くて劣等感とかもあったんだけど、コレクションすることに関しては、もう学校でも一番だったね。
僕に叶うヤツいなかったから。
弱いんだけど、そういうところでは優越感を持ってたかな。
コレクションについて教えてください
- 僕のコレクションというと、どうしても琺瑯看板が表に出るんだけど、僕は琺瑯看板専門のコレクターではないんだ。
広告媒体に関わるものを集めていて、そのひとつが琺瑯だったんだ。
収集家といっても、ただ単に物を集めているわけではないわけ。
集めてるのには、ちゃんと理由があるの。
だから広告媒体のものは、今現在のものも集めているよ。広告というのは、買い物をする客に対して、その時点よりも半歩ぐらい先の世の中の憧れなんかを表現しているの。
新すぎても古すぎてもダメなわけ。
そして広告は旬が過ぎたら捨てられていくわけだけど、捨てられていく広告には、その時の時代を表現っていうか象徴するものが如実に現れて残る。
それが広告なんだよね。人の歴史っていうのは繋がってるでしょ?
今があって、過去や未来に繋がってく。
どこかを切り出しただけではダメなんだよね。普通歴史っていうと、おおまかな「何年に何がありました」とか、そういう大きいくくりのものは教科書でもそうだけど、残ってるじゃないですか。
でも、その時代の背景とかでも、世相っていうか、庶民が感じていた時代の空気感っていうのは歴史の本だけじゃ解らないでしょ?
広告ひとつでも、きちんと体系づけて研究すると、その広告があった時代の庶民の暮らしや感性が見えてくるんだ。
それがおもしろいし、現在進行形の広告だって、時を経て時代の匂いを表しながら歴史として残っていくわけ。商業広告っていうのは謎解きだな。
看板に書いてある文字ひとつにも、重大な意味があるの。
そういうのは謎を解いていくと本当におもしろい。
考古学っていうのはあるけど、僕がやってるのは考現学っていうことにもなるかな。
サミゾ的生き方のポイントみたいなものは何ですか?
- 僕は五感を大事にしているんだよ。
携帯も持ってないし、テレビも見てないし、パソコンなんてもちろんやらない。
読むのは新聞だけ。
便利になりすぎちゃうと五感が鈍くなるでしょ?極力情報量を制限しながら五感を研ぎ澄ませて、自分の気に入った情報を拾えるようにしているの。
あとは友人なんかに頼んどいて、集めてもらったりとかね(笑)。でも、みんなどれが大事で、どれが大事じゃないとか、案外解ってないんだよね。
便利な暮らしの中にどっぷり浸かってるからさ。
五感を大事にしていると、ちゃんと見えてくるものがあるんだ。
佐溝さんから是非メッセージを
- 僕にとっては、広告収集っていうのはあくまでも自己表現の一つなわけ。
音楽だってやるし、ボランティアもしてるし、美術もやってる。
要は、自分の好きなことをやりながら生きているんだ。生き様っていうのかな。
楽しい生き様。
実際、僕は楽しく、悔いがないように生きているから。
そういう僕の生き様っていうのを、色んなファクターを通して見てもらってるんだと思う。そういう僕の生き方を世の中に向けて発信していって、誰か一人でも解ってくれたり、勇気を持ってくれたりしたら嬉しいと僕は思うかな。
生き方にぶれがないのよ、僕は。
将来に対しても不安とかないんだよね。
不思議でしょ?
お金とかないんだけどね。
でもそれは、自分の責任で自分が好きな生き方が出来ているからだと僕は思っています。
※記載されている内容・写真は、調査当時のものですので、最新の情報とは異なる可能性があります。
必ず事前にご確認の上おでかけください。
(転載/穂っとネット東三河)