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【体験取材】阿多古和紙の紙漉きに初挑戦!

天竜区阿多古地区には400年の歴史を持つ「阿多古和紙」があります。現在は80代の大城忠治さんがひとりで伝統を守っています。阿多古和紙は「流し漉き」という技法で作られており、とても丈夫な紙でなんと千年もの間保管することができると言われています。kamisuki02162
NPO法人元気里山は、「阿多古和紙」を次代につなげる場のひとつとして、【かみの工房】を天竜区阿多古地区に昨年開設しました。元気里山の田中さんのお話によると、この施設は地域の人たちとも繋がって、阿多古和紙の伝統的な手仕事の良さや面白さを共有する場として活用されていくそうです。将来的には外からも来てもらうような「紙漉き体験」等様々な計画があり、今後どのように進化していくのか楽しみです。
今回【かみの工房】で開講している『阿多古和紙をまなぶ4回連続講座』に参加してきました。この講座は大城忠治さん指導のもと、昨年12月から毎月1回の計4回講座で、和紙の材料である楮(コウゾ)の蒸し上げから紙漉きまでの阿多古和紙の一連の仕事を学ぶ事ができます。
今回は第3回目の講座に参加しました。前回までに楮の蒸しあげ、黒皮むき、白皮加工までが終わっていたので、白皮加工された楮を叩きほぐし、長い繊維を細かく分解する作業からです。この叩きの作業は根気がいります。なかなかうまくできない私に見かねて、大城さんが繊維を切るように叩くこつを教えてくれました。叩き方ひとつとっても違いがあり、興味をそそられました。叩きほぐした楮を水に入れると、棉のようにふんわりします。
この植物はヤブトロロ(別名:ビナンカズラ)といい、和紙を流し漉きするときに必要な粘液の役割を担います。ヤブトロロもよく叩きます。
叩きほぐした楮とヤブトロロを水に溶かし混ぜます。紙漉きで使用する水はとても重要で水道水ではうまくできないそうです。
大城さんが紙漉きを見せてくれました。簀桁(紙漉きの道具)に原料液をすくって細かく揺り動かし、求める厚さになるまで繰り返します。大城さんは瞬く間に和紙を作っていきます。
私も紙漉きに初挑戦!何回も大城さんや講座を受けている方々の紙漉きを見ていたのに、実際やってみると、頭の中のイメージと体の動きが一致しません!1回目はなんとか原液をすくい上げても2回目にすくい上げると繊維がよれてしまいうまくできません‥
大城さんが何度もおっしゃっていた「見てるだけじゃわからん。まずはやってみなきゃ!」という言葉。本当に体験してみないとわかりません。簀桁の持ち方や力の加減、すくい方‥何度も、何度も経験しないとわかりません。そしてどうやったら自分の求める和紙ができるか探求していく面白さがあるなと感じました。何回か紙漉きを体験させていただきましたが、繰り返すうちに少しずつ成長が感じられるのも嬉しかったです。
講座を受けられている方は、「1つ1つの工程での作業が、最後の和紙の出来上がりに反映される。それが面白い。」とお話してくれました。
叩きの作業からの参加でしたがその前の様々な行程を考えると、「和紙づくりは手間のかかる手仕事だ」と改めて感じました。そして、その手間が出来上がった時の喜びにつながると感じました。元気里山の田中さんは「面倒な事が大切。面倒な事は頭を使い暮らしをしっかりさせる」とお話ししてくれました。
今回の体験はとても充実した時間を過ごす事ができ、手仕事を通して新たなものの見方を垣間みたような感じがしました。そして紙漉きに関わらず、大城さんが何度もお話ししていたように「まずはやってみなきゃ!」というように、とにかく挑戦することは大切だと感じました。
紙漉き後に和紙を板に貼り乾かす作業があり、まだ完成品は受け取っていませんが、出来上がりがとても楽しみです!

阿多古和紙について気になった方はぜひ下記のHPをご覧ください。
https://gksatoyama.web.fc2.com/washi.html

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