浜松楽器職人名鑑 佐藤亮(チェンバロ) vol-20
北海道出身。高校時代、管弦楽団でビオラを演奏していたことがきっかけで、北海道教育大学(旧北海道芸術大学)へ。内部留学制度を活用し、東京芸術大学で2年間学ぶ。そのときにヤマハ銀座店でアルバイトをしていた。卒業後、恩師の勧めでヤマハに就職するも1976年退職、1977年チェンバロ製作開始。チェンバロ製作は音楽仲間の要望で始める。もともと仕事にしようと思っていたわけではなく楽団でチェンバロが必要だったから。1985年には中国上海交響楽団をはじめ、佐藤さんが製作したチェンバロは南アメリカ、ルーマニア(ルーマニア国立ジョルジュ・エネスコ管弦楽団、トゥルグ・ムレシュ交響楽団)、コロンビア(コロンビア国立大学芸術学部)、ペルーやカザフスタン、メキシコなど海外にも広がる。
佐藤亮のこだわり/楽器づくりは、先人の優秀な技術のコピーをすることでしかない。いかに、その技術に近づけられ、最高なものを作るかが大切だと思う。楽器は、言葉が違っても他国の人たちと交流ができる唯一の文化だと思う。ダンスも音楽なしではできない。自分一人で楽器を作っており、需要はないと言われているが、文化は一過性のものではなく、引き継いでいくもの。音楽は奥が深いものなので、商売で楽器を作るというのではなく、音楽が好きだから、楽器を作っている。浜松には素晴らしい音楽文化があります。しかし、日本の代表的な音楽である雅楽は、いまや国が保存しようとしてはいないし、浜松の楽器博物館でさえ、楽器収納庫がないなどの課題はあるし、博物館の活動は魅力が足りていません。もっと浜松は楽器文化を世界に広げていけるような仕組みが必要でしょう。世界に知られている有名な職人は5人もいるのです。また、文化は根が深いものです。しかし、そこに人間がいなければ文化は創造できません。先人が築き上げた素晴らしい文化を絶やすことなく、保っていくことができる次世代を築いていかなければならないと思います。
天竜区二俣(電)053-925-3814
資料提供/一般社団法人グローバル人財サポート浜松