<東三河のキラリ人 VOL.13>世界最高品質のセリサイト採掘とチェーンソーアート 「三信鉱工株式会社」

Vol.013

世界最高品質のセリサイト採掘とチェーンソーアート 「三信鉱工株式会社」

  • 技術部門

北設楽郡東栄町振草(ふりくさ)の山中に高級ファンデーションの材料となる世界最高品質の絹雲母(セリサイト)を採掘している三信鉱工株式会社があります。
社長の三崎純市さんと、そちらで働く青木義大(よしひろ)さんにお話を伺いました。

Iターンだそうですね

横浜で耐震工事の仕事をしていました。
昔から田舎で暮らしたいと思っていまして、子供が生まれたことを機に、転職してこちらの会社に就職して十年になります。
(青木義大さん)

来てみてどうでしたか。

違和感はなかったですね。
むしろ良い方が多かったですよ。
五時に仕事が終わって、五時半頃にはお風呂に入れるという生活ができ、ありがたかったですね。
これまでは、仕事が終わっても現場から職場に着くのに二時間ぐらい渋滞にはまってしまい、帰宅するのは九時頃という生活でしたから。
今では家族と過ごす時間がたくさん取れるようになりました。
(青木義大さん)

Iターンの方はたくさんいるのですか

今は十人ぐらいいます。
最初は大変だったと思うのですが、彼は、来てすぐに、東栄町がミレニアムイベントとして開いた大会をきっかけに、チェーンソーアートに出会い、周りに溶け込んでいったと思います。
そういうきっかけが見つけられないと不幸で、結局都会に戻ってしまうんですよ。
田舎暮らしのイメージが違っていたとか、本人は良くても、奥さんが参ってしまったり・・・。
僕らもせっかく来てもらったのに非常に残念なのですが、彼は幸いこうして気に入ってくれているので、ありがたいですね。
(三崎純市さん)

チェーンソーアートの魅力は?

今はオーダーのものを作っているのですが、喜んでもらえるところが、魅力ですね。
自分の仕事が評価されるじゃないですか。
最初は遊びで始めたんですが、間伐材に付加価値を付けて、工芸品に仕上がる。
木も喜ぶと思うんです。
ただ、切られて山に放置されるのでは木だって辛いですよね。
自分の技術が上がれば、価値が上がる。
価値を生み出すことができるかは、彫る人の技術次第で、そういうことに鳥肌が立つんです。
(青木義大さん)先代の社長が、チェーンソーアートの町ということをPRする為に、彼に頼んで作品を彫ってもらい、国道沿いに十台ぐらい作品を置かしてもらったんですよ。
(三崎純市さん)

作品を見た人がおもしろいなとか、すごいなと思って立ち止まってくれたらいいなと思います。
見ている人を楽しくするようなもっとおもしろい何かを作りたいです。
(青木義大さん)

市全体に芸術作品を置くといった取り組みをしているところも増えているようですが、東栄町もいずれチェーンソーアートでそういうことができるといいですね。
(三崎純市さん)

仕事はどうでしたか。

ピックハンマーや削岩機等、前の仕事と使っている機械は同じなので、そんなに抵抗はなかったです。
ダイナマイトを使うのは今でも怖いですが、安全にはとても気をつけています。
(青木義大さん)彼が入った時は閉鎖になった秋田の鉱山技術者がたくさん来ていまして、当時は秋田弁がばんばん飛び交う中で仕事をしていたんです。
その中でお弟子さんのように習いながら仕事をしていたので、言葉もわからないし、だいぶ苦労したと思いますよ。
(三崎純市さん)

坑内は暗くて狭いですよね?どのくらいの時間いるのですか?

朝八時から十一時半までと、午後一時から四時半までです。
ずっとその間は坑道で作業しています。
最初は暗くて閉鎖的な感じで嫌だなあと思っていたんですけど、冬は暖かいし、夏は涼しいし快適です。
外部の世界と遮断されているので、あそこで木彫りでもやれたらすごいなあと。
時間が経つのがすごく早いんです。
この十年あっという間で、三年ぐらいしか経っていない感じ。
皆が言うことですけど、時間軸が変わるんです。人間って五感でいろいろなものを外部から感じ取って生活していると思うのですが、そういうのがないので、すごく集中できて、違った時間が流れているような気がします。
(青木義大さん)

果てしなく長い時間が流れているイメージで大変な仕事だと思っていたのですが・・・。

暗くて強制労働みたいな?(笑)全然大変じゃないですよ。
体が退化しちゃって暑さには弱いし、寒さには弱いし、夏に外で働けと言われても無理です。
(青木義大さん)

でも、坑内の補強木枠も運搬用のトロッコも全部手作りですよね?

そうですよ。
レールは既製品を曲げるだけですけど・・・。採掘したものを運び出すのはトロッコですけど、最初重たいだけで、動きだしてしまえば力は要らないです。
人も乗ってきちゃうぐらいですから。
(青木義大さん)危ないって言ってるんだけどねえ。(笑)
よく石炭鉱山と同じように暑いと思われるんですが、坑内の気温は、一年を通してだいたい十五度から十七度ぐらいなんですよ。
(三崎純市さん)

この仕事の醍醐味は。

それはやっぱり自分の掘った製品が「世界の女性のために!」と思うと興奮しますね。
(青木義大さん)(世界の女性を)陰で支えてるっていうことで。
若い世代にこの仕事の意義を教えたいと思うんです。
技術的なことは見ていれば、覚えるので・・・。
誰かの役に立っているという気持ちを持って、誠実に仕事をこなしていくときっといいことがあると。まだまだ自分も未熟ですが一番それを伝えていきたいです。
夢は会社を辞める日にトロッコで坑道から出てきたら、百人の美女が花束持って待っていてくれるのです。
いつもそれをイメージしながら仕事しているんですよ。
(三崎純市さん)

では、三信鉱工㈱の製品が世界の女性の美しさに貢献していることをもっとPRしないと・・・。

そうなるように頑張りましょう!
今後その方向で(笑)。
(三崎純市さん)それで、最後にまた戻ってきて、まだやります!って言うんですよ。
あと三年頑張りますって(笑)。
そのエンディングを描きながら仕事します。
(青木義大さん)

出典

「キラッと奥三河 ―人・物・文化・企業―」
No.4 セリサイト採掘とチェーンソーアート 三崎純市さん、青木義大さん
訪問日 平成22年3月4日
訪問者 新城設楽山村振興事務所 県民安全防災課 安藤、近藤

 

(転載/穂っとネット東三河

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