自らのスタイルを貫き、最高の身体パフォーマンスを追求するプロマルチアスリート 小笠原崇裕さん<東三河のキラリ人>

自らのスタイルを貫き、最高の身体パフォーマンスを追求するプロマルチアスリート 小笠原崇裕さん

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マウンテンバイク クロスカントリー世界選手権へ日本代表として多数出場された経験を持つ小笠原さん。日本人初の北米3大ブランドの契約レーサーを経て、エクステラ(オフロードトライアスロン)では2007年から2013年まで7年連続全日本チャンピオン。トレイルランニング、トライアスロン、ロードレース、アドベンチャーレースなど各種エンデュランススポーツ(持久系スポーツ)で活躍。選手として世界各地のレースに参戦するかたわら、インストラクターとして活動する他、インターネットメディア「THE BIKE JOURNAL」において独自の立場で自転車に関する情報発信を行っています。2009年から2011年までマウンテンバイクのオリンピック強化委員。1980年生まれ。田原市出身。

マウンテンバイクを始めとするエンデュランススポーツを始めたきっかけを教えて下さい。

 競技として始めたのはマウンテンバイクよりトライアスロンのほうが先なんです。僕が通っていた田原市の福江高校は昔から伊良湖トライアスロンに全校挙げてボランティアとして協力をしており、元々馴染みのあるスポーツでした。また父がトライアスロンをやっていたこともあったので、高校でトライアスロンを始めるのは自然な流れでしたね。高校2年生から伊良湖トライアスロンに出場して、高校3年生のとき6位入賞しました。

マウンテンバイクは、はじめ近所の足として乗っていた程度なんですが、地元で20年以上前から開催されている「ゴールドカップ」という草レースに出たりしていました。まだ競技に打ち込むという感じではなかったですね。マウンテンバイクは、高校3年生から全日本レベルのジャパンシリーズに出場するようになりました。

高校卒業後、普通に就職せずに選手としてやっていきたいと考えました。そのときにトライアスロンとマウンテンバイク、どちらも成績が出ていたのでどちらに進むか迷いましたが、どっちのほうが自分でやりたいのかな、と考えて、より好きだと思えるマウンテンバイクの道に進むことに決めました。

僕は、元々我が強い方で、マウンテンバイクのチームに入ってからも自分の色を出したいと思っていました。若い選手であればチームのオーダーにしたがってやらなければいけないところですが、自分の考え、信念を持って独自のやり方をやってきました。自分だけ違うものを使ったりして。今思うとやっぱり悪かったなーってこともありますけどね(笑)。ただ、そうしてやってきたことが、今につながっていると思います。

その後、マウンテンバイク日本代表として世界選手権を転戦され、エクステラでは2007年から現在まで日本チャンピオンとしてご活躍ですが、現在は選手以外にどのような活動をされているんですか。

 選手以外の活動としてはインストラクターのほか、仲間とインターネットメディアでの情報発信をしています。

2011年から「THE BIKE JOURNAL」というインターネットメディアを始めました。この「THE BIKE JOURNAL」は自転車のインプレッションやレースを通じて感じたことなど、僕たちのリアルを本音で伝えるメディアとして無料で配信しています。

自転車についてのメディアはいろいろありますが、自分の考えを伝えるためによそにお願いしてやるとなると、どうしても自分の意図したことと違う伝え方をされてしまう部分が出てきてします。また、「THE BIKE JOURNAL」を有料にしたら?とよく言われますが、それをしてしまうと受けのいい書き方をしてしまって本当に伝えたいことを伝えることが出来ないと思います。商業的というのはもちろん必要なことではあると思うんですけど、それは他のところでやってもらえればいいのかなって。「THE BIKE JOURNAL」は自分が好きなときに好きなことを発信できる場なんです。

それから「THE BIKE JOURNAL」でもときどき書いていますが、エンデュランススポーツ全般、トライアスロンも自転車もランニングもトレイルランもクロスオーバーさせたいと思っています。自転車をやる人がトレイルランをやる。それによって元々やっていた自転車にその経験が生かされていくことがあります。

それぞれのスポーツをやっている人にいろいろやろうよ、って言いたいですね。それを自分も選手としてやりながら伝えていきたいと思っています。

今年3月に豊橋市で開催される「豊橋サイクルフェスティバル」で、コース監修とアドバイザーをお務めになるそうですね。注目ポイントはどこですか。

 ずばり風ですね。風が吹いて欲しい。

風が強いのは、豊橋の特徴のひとつですよね。今度の「豊橋サイクルフェスティバル」は、豊橋の臨海部で開催されるので強い風が吹くと思います。風が吹くとレースの展開が面白くなると思いますよ。ロードレースらしさが味わえるんじゃないですかね。

初心者の方には辛くなりますけど、出場選手の中にはこれからどんどんステップアップして強くなりたい選手もいると思います。将来、海外の厳しい環境で開催されるレースに行ったときに、「走り方がよくわからない」とかならなくて済むように「あ、こういう風のときは、こう走ればいいんだ」って学ぶ場にもなればと密かに思っています。なかなか経験出来ないと思いますよ。

世界各地のレースに出場されて、いろいろな場所を見られていると思いますが、エンデュランススポーツのフィールドとしての東三河をどのように思いますか。

 東三河は山も海もあり、交通インフラも整備されていますよね。新幹線も東名高速もある。すこし範囲を広げればセントレア空港もある。立地条件としては非常に恵まれている地域だと思います。外からの人を呼んで、東三河の山や海を楽しんでもらうことが出来るところです。

例えば、新城やその向こうは手付かずの山が残っていますし、地元田原なら、外海の遠州灘でサーフィンが出来る。泳ぎたければ内海の三河湾に行けばいい。半島という地形も強みですよね。豊橋には自然歩道が整備されていて、僕もよくそこでランニングしていますが、そこからは太平洋、遠州灘の海岸線がずーっと見えたりして、景色が良くてほんとうに気持ちがいい。

今は東京にいますが、いつかは地元に戻ると思います。単純に地元だから好き、というのではなくて、ほんとうに好きな場所ですからね。全国各地を遠征などで転々と回ってきた経験から言っても、エンデュランススポーツをやるにはものすごくいいところだと思います。

東三河でもサイクリングしている方をよく見かけるようになりました。これから自転車を始める方にアドバイスはありますか。

 最近は、スポーツとしてサイクリングが定着しつつありますよね。これからサイクリングを楽しもうという方が、豊橋、東三河にもまだたくさんいると思います。

そうした方が、自転車を始めるのに聞きかじりで自転車をネットで買って、好き勝手に乗り始めてしまうというのを最近よく耳にします。

自転車を始める目的は、いろいろあると思います。ダイエットであったり、通勤であったり。どんなスポーツでもそうですが、最初にどう習うかがとても大切だと思います。だから専門のショップに行って購入し、乗り方を習ってから乗ってもらいたいですね。

自転車はスピードが出るものなので、交通ルールを知らない人が事故を起こすといった危険性もありますし、真面目な人が練習をし過ぎて膝を壊してしまうこともあります。ママチャリの延長ではなく、ちゃんとしたスポーツなんだって認識を持ってやってもらいたいです。せっかく高い自転車を買ってやり始めるなら、痛みや怪我は避けたいですよね。きちんとした指導を受けてやれば、自転車は生涯スポーツとして楽しめるものです。ぜひ適切な指導を受けて始めて欲しいですね。

最後になりますが、今後、どのように活動をしていきたいと考えていますか。

 まず、「生涯現役」でありたいですね。「引退します」とは言いたくないです。年齢とともに体のパフォーマンスの低下は避けては通れません。年齢を重ねれば、当然、トップを狙う位置にいることはできなくなるでしょう。

年齢に応じた最高のパフォーマンスを出せるようになりたいです。そのために1%のロスをどう無くすか、1%の出力をどう上げるか、そうした1%の効率化の積み重ねがどこまで出来るのか。この先の人生の中において、自分自身でそれを実証したいと思っています。まだまだ勉強段階です。若ければある程度気合いでなんとかなっちゃうこともあると思いますが、ある程度年齢を重ねたらそうはいきません。経験を積むなかで、常に考えていかないと、パフォーマンスを最大に持って行くことはできない。もし、そうした努力を一旦止めてしまったら、それまで積み上げてきたものが無駄になってしまう。だから、自分でそれをやり続け、どこまで出来るのか試してみたいんです。

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インタビューの待ち合わせ場所にロードバイクで颯爽と現れた小笠原さんは、インタビューが終わるとそのままロードバイクで次の仕事へ向かわれました。

小笠原さんのブログのタイトルは「小笠原崇裕のOGA-STYLE」。

小笠原さんが取り組む最高のパフォーマンスを生み出すための経験と努力の積み重ね。この追求の姿勢がまさに「OGA-STYLE」なのではないでしょうか。小笠原さんが生涯現役であるならば、「OGA-STYLE」は進化を続けていくことでしょう。今後も小笠原さんの「OGA-STYLE」を応援していきたいと思います。

2014年1月17日取材

THE BIKE JOURNAL ホームページ http://bikejournal.jp/
THE BIKE JOURNAL facebook https://www.facebook.com/bikejournal
OGA-STYLE ホームページ http://oga.bikejournal.jp/
豊橋サイクルフェスティバル ホームページ http://cycle-festival.jp/toyohashi/

 

※記載されている内容・写真は、調査当時のものですので、最新の情報とは異なる可能性があります。
必ず事前にご確認の上おでかけください。

(転載/穂っとネット東三河

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