<東三河のキラリ人 VOL.11>スイカからの未来 「合名会社 しげじぃの命のスイカプロジェクト」 安形真さん
Vol.011
スイカからの未来 「合名会社 しげじぃの命のスイカプロジェクト」 安形真さん
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技術部門
「しげじぃの命のスイカプロジェクト」は農家の後継者不足を解決するために、農業を魅力的な仕事に変えていくプロジェクトです。
農業は頑張ったら頑張った分だけ、おいしいものができる素敵な仕事です。
そして、自然と向き合いながら自分を磨いていく素晴らしい生き方でもあります。
私の祖父、しげじぃは体力の衰えから現在はほとんど農業をできていませんが、誇りを持って仕事をしています。私はそんな祖父を尊敬しています。
だからこそ祖父のスイカを残し、多くの人に祖父の仕事の素晴らしさを伝えたいと思いました。
祖父のスイカを通じて、農業の魅力が少しでも多くの人に伝わり、農業を真剣に志す人が現れることを願っています。
しげじぃの命のスイカプロジェクト
代表 安形 真
安形さんご自身とプロジェクトについて教えて下さい。
- 現在二十七歳、独身です。
名古屋の大学を卒業後、豊橋にある会計事務所に勤めている時に、何人かの農家の方から経営に関するご相談を受けました。
例えば電照菊は重油の高騰や中国からの輸入に押されて経営が苦しいといったものです。
それは祖父の体力の衰えとも重なり、転機となりました。
祖父のスイカを受け継ぐことを通じて、農業の魅力を伝えていきたいですね。
昨秋からプロジェクトをスタートしました。
生活は半農半X(エックス)です。
エックスは生活の糧になる活動を指し、教育が好きで携わっています。
これにボランティアでも構わないという仲間がプロジェクトを手伝ってくれました。
彼らは運営に個々の専門性を発揮しながら、且つ活動を通して、その能力に磨きをかけています。
多くのご友人があって人望が厚いんですね。
- いえ(照)。
コアなメンバーは8人。
同級生や市民活動のワークショップで知り合った方たちです。
活動を通して先ず自らが模範を示したいですね。
このプロジェクトを創める時、将来への不安にビビッているだけではいけないと考えました。
幸い、若者のビジネスの呼び掛けに、賛同して出資してくれる会社が10社あらわれました。
資本金は150万円です。
配当金支払いの代わりに株主優待としてスイカを配ります(笑)。
スイカの栽培は順調ですか?
- スイカ作りはゼロからなので、祖父に教えられながら、実家の隣500㎡の畑にこだわりの堆肥を作り、有機減農薬で栽培しています。
7月には400個の収穫予定です。
チラシやネットで販路も開拓していて、そのギフトボックスにはスイカと絵本が入っています。
絵本作家を目指している山内愛さんという方が、祖父とのスイカの物語をドキュメンタリー風に描いてくれました。
家族で楽しんでもらえる内容です。
販売を通じてストーリーを伝えたかったんです。
こだわりを持って栽培する農家は必ず何かストーリーを持っているんですよ。
それを消費者に知って欲しいですね。
農業の魅力とは…
- 農業を魅力的な仕事にしていきたい。
消費者の「美味しい」という言葉を生産者へフィードバックできれば絶対に感動は増します。
※1マルシェ・ジャポンや※2いなり楽市の出店等、消費者の農業への理解を促進するような活動も行っていきたいです。農業は“命をつなぐ”仕事と思います。
栽培にこだわりを持つ農家もありますし、そうでないものも。
でも、消費者へその事を伝え難い。
農産物のブランド化も農家個々か、地域全体かで目指し方が異なります。
農家が互いの価値を認め合い、高め合うために農家個々の独自農法を公開して地域一体で研究を重ねられれば…。
こだわりをきちんと消費者に評価してもらい、適正な価格で売るという事で収益性とやりがいを創出したいですね。※1…農林水産省の支援で始まった都市住民参加型の市場(マルシェ)。
※2…豊川稲荷表参道で定期的に行われるイベント。コンセプトは『ちょっとレトロな異空間』。
働くことと生きることの融合
- 会社員時代は働くことと生きることはON・OFFの関係でした。
それが自分の中では寂しかったです。
しかし、今はそれらを別々に考える必要はなく、働くことによる人との関わりの広がりが、生きることの充実に繋がっていると思えます。
祖父もプロジェクトを喜んでくれていますし(快)。
出典
- 「キラッと奥三河 ―人・物・文化・企業―」
No.6 スイカからの未来 安形 真さん
訪問日 平成22年6月10日
訪問者 新城設楽山村振興事務所 山村振興課 宮内一郎
(転載/穂っとネット東三河)